Opera ブラウザ
Extensible Rendering Architecture
テクノロジーホワイトペーパー、2005年9月
著者: Tarquin (Mark) Wilton-Jones, Opera Software ASA
目次
ERA (エクステンシブル・レンダリング・アーキテクチャ)とはウェブコンテンツをほぼあらゆる表示メディアに合わせて調整する包括的な技術です。
はじめに
ウェブページのほとんどは特定のスクリーン解像度に合わせて設計されており、低解像度のスクリーンやハンドヘルドデバイスは考慮に入れられていません。この問題を解決するにあたり Opera はスモール・スクリーン・レンダリング™ (SSR) 技術を2002年に発表しましたが、この技術はページを再フォーマットしてハンドヘルドデバイスの小さなスクリーンに合わせて表示させるというものでした。しかしながら多様なデバイスであらゆるサイズのスクリーンが登場するにつれて、ブラウザはウェブページをそれらの様々なサイズのスクリーンに合わせてダイナミックに調整しなくてはならなくなりました。Opera は2004年、この新たなる挑戦にエクステンシブル・レンダリング・アーキテクチャ ™(ERA)技術の開発で応えました。ERA は Opera の数種のレンダリング技術をカプセル化したもので、これにより Opera ブラウザであらゆるスクリーンサイズに合わせてウェブページを表示できるようになりました。
要するに Opera のエクステンシブル・レンダリング・アーキテクチャ(ERA)は、多様なディスプレイに合わせてウェブページを調整し、水平スクロールを利用しなくても表示させるフレキシブルな技術といえます。これによりページをカスタマイズしたり特殊なスタイルシートを使用したりしなくても、コンピュータの小さなスクリーンや TV、PDA や携帯電話などでページを閲覧したり印刷までできるようになります。
ERA はまたおのずと Opera のズーム(拡大・縮小)機能と結びつき、ページをよりアクセスしやすくし、より多くの人々がご利用できるようになります。例えば視覚障碍をお持ちの方にとっては、ウェブページを二倍から三倍も拡大することができ、それでいてスクリーンサイズに合わせて表示することができるという点でお役に立つでしょう。
代わりつつあるデバイスの使用
ウェブというものが成熟するにつれてコンピュータの機能も向上し、最新のハードウェアに合うようにウェブサイトが設計されるのは一般的になりました。しかしながら旧式のコンピュータは現在も使用されていますし、これは重要なことですが、コンピュータももはやウェブを閲覧するためだけのものではなくなっています。
携帯電話やデバイスのブラウジングは、ますます一般的になりつつあり、ますます多くの携帯電話やデジタル TV パッケージが Opera のようなウェブブラウザを搭載して開発されつつあります。 大多数の携帯電話の解像度は非常に低いもので、100 ピクセルから 300 ピクセルほどの幅しかありません。一方ハンドヘルドデバイスは通常携帯電話よりはやや高い解像度を備えていますが、TV のそれよりは低くなります。TV のほとんどは 720 ピクセル幅ですが効率の悪さによっては最高 20% 程度まで下がります。
現実のウェブページは完璧ではない
上手く書かれているウェブページはスクリーンのサイズにかかわらず完全に実行できるように自らの設計を調整することができます。また、小さなスクリーンやプリンター、ハンドヘルドデバイス、特殊機器などを同様に配慮することも可能です。現実には設計へのこの配慮にはコストがかかるため、そのためほとんどの設計は最も一般的なスクリーン解像度 800 ピクセル辺りにのみ合わされています。ウェブサイトの圧倒的多数はデスクトップコンピュータでのブラウジングのみに焦点を合わせており、ハンドヘルドデバイスや TV、印刷時といったその他のレイアウトには備えていません。
ウェブページのほとんどは固定のテーブル・ベースの設計に依拠していますが、そういった設計には列やセルのストラクチャが強制された状態で、最小サイズの制限が厳格に設けられています。フレームセットなどのその他の HTML ストラクチャにもしばしばサイズ制限があります。
流動的に設計されているサイトでさえも、ウィンドウ幅が狭すぎたり、マージンやパディング、配置、無数のスタイルなどのために最小幅が制限されたりといった問題が生じることがあります。
ほとんどのウェブページには固有に設計されており、しばしば法人や組織のブランドマークなどが付されています。ページをあらゆるスクリーンサイズに合わせて表示させるとサイトのオーナーのカスタマイズ要件に悪影響を及ぼしかねず、許容されないこともよくあります。
水平スクロールの問題
ページ幅が有効幅に対して大きすぎる場合、通常は水平スクロールが表示され、コンテンツを閲覧するために左右をスクロールできるようになります。ほとんどのユーザにとって一行ごとに横スクロールを行わなくてはならないというのは実に面倒な作業です。
またこのことは、水平方向にスクロールができるようなコントロールを備えていないデバイス上では特殊な問題となりえます。ほとんどのデバイスコンテンツは垂直スクロールのみが必要なようにレイアウトされています。
視覚障碍をお持ちのユーザの皆様はテキストサイズを拡大する必要に迫られることも多いでしょう。あるいは Opera のズーム(拡大・縮小)機能 を利用してページ上のテキストや画像を拡大する必要もおありでしょう。固定のページ設計では小さなスクリーンを利用しているのと同じ結果となり、ページのレイアウトを崩してしまいかねず、ページコンテンツの各行ごとに横スクロールを行わなくてはなりません。
ERA の仕組み
エクステンシブル・レンダリング・アーキテクチャ (ERA) は Opera の数種のレンダリング技術を連携させたフレームワークで、それぞれのレンダリング技術がウェブページを再フォーマットし異なるサイズのスクリーンで表示させることができます。表示可能な画面スペースに応じて、Opera はダイナミックに最適なレンダリング技術を選択してそのページに適応します。ユーザの皆様には何の操作を行っていただく必要もなくなります。
それぞれの技術は多様な解像度に合うように調整されており、オリジナルのページ設計とカスタマイズ内容を出来る限り保持しつつも、サイズに合わせてページを再フォーマットしようとします。ERA 技術ではページの作成者が最適なスタイルシートや、関連の解像度向けのページ、デバイスの種類などを特定していない場合であっても、これが可能になります。
最適なレンダリング技術の選択により、Opera は全種類のスクリーンサイズ上で、スタイルシートのみを仕様しては実現が不可能なほどシームレスに、柔軟性の乏しいページを表示できるようにします。ERA はまた、最適な再フォーマットを適応して水平スクロールバーを無用のものとするばかりでなく、Opera のズーム(拡大・縮小)機能と結合しフォントや画像のサイズを変更することもできます。
レンダリング技術
ERA が活用するレンダリング技術にはミディアム・スクリーン・レンダリング(MSR)技術、アグレッシブ MSR (AMSR)、スモール・スクリーン・レンダリング(SSR)技術、 カラー SSR(CSSR)、TV レンダリング(TVR)技術、それに通常のスクリーンレンダリング技術などになります。
一般的に言うと MSR 技術は小さめのコンピュータのモニタに向けて、AMSR 技術は PDA 向けに、CSSR 技術は携帯電話や低解像度の PDA に向けて、SSR 技術は低解像度の携帯電話に向けてそれぞれ調整を行います。それぞれの技術はより効果的な再フォーマットや拡大・縮小を適応し、ページを再構成してテーブルや流動的な設計が強制する最小幅を削除します。TVR 技術はほとんどの TV に向けて調整を行いますが、これらの TV では小さなフォントや織り交ざったディスプレイ、ハイコントラストなどに起因する従来の問題を解決しています。
一連のレンダリング技術は数多くのメソッドを採用し、ページを利用可能なスペースに合わせて表示できるようにします。例: :
- 画像とテキストの拡大・縮小
- テーブルの再構成
- コントラストの補正
- フレームセットの統合
- 行末の折り返し
- エレメントの再配置
- 不要なマージンやパディングの除去
- 不要なコンテンツの選択非表示
これらは関連の CSS メディアタイプに統合したり、(利用可能であれば)特定のメディアタイプに完全に依存することができます。
ERA のフレームワークにはさらなる特徴があります。再フォーマットのメソッドを Opera Software ASA に簡単に調整させ、個別のデバイスごとの独自の要件に適応させることができるのです。

図 1: Opera 8 for Symbian Series 60 プラットフォームのスクリーンショット(BBC ニュースウェブサイトを表示)。通常のレンダリングを利用してページを表示した場合と、ERA 技術を利用して再フォーマットを行いページを表示した場合とを比較してご覧になれます。
ERA の利点
ページを再フォーマットしスクリーンサイズに合わせることで、ERA が作成者とユーザのコストとリソースを節約します。
ERA 技術により個別のメディアタイプやスクリーンサイズごとにスタイルシートを追加する必要がなくなります。また、デバイスやプリンタを考慮したページも不要となります。結果として作成者はスタイルシートや追加ページを作成するリソースがいらなくなります。ユーザにとっては余分なスタイルシートやページバージョンをダウンロードする必要がなくなり、作成者とユーザの双方のために帯域料金を削減します
ユーザの皆様はお使いのコンピュータモニタや TV、電話を高解像度にアップグレードする必要がなくなります。お使いのタイプのデバイスやスクリーン、サイズなど向けに設計されていないページでもご覧になることができます。
ご提供のコンテンツによりアクセスしやすくなり、様々な顧客の皆様にとって利用しやすくなりますので コンテンツプロバイダの皆様にとっても有益です。また、ユーザの皆様はウェブサーフィン中もウェブコンテンツのページをパネルに表示させたままにすることができます。TV やデバイス向けのサービスプロバイダの皆様は、プロキシサーバの再フォーマットを組み入れる必要がなくなります。
ERA でウェブページの作成者の皆様は、多数の解像度の幅で、法人や組織のカスタマイズ要件をより容易に保持することができるようになります。デバイスやプリンタで使いやすいバージョンへのリンクを含むレイアウトを台無しにする必要はありません。
図 2: Opera 8 のスクリーンショット(メインウェブページに Sports Illustratedas、パネルには Sony Ericsson のサイトを表示。スクリーンスペースの使用量は合わせて 800 x 600 ピクセル。)いずれのページも ERA 技術で再フォーマットされています。Sony Ericsson のページには CSSR 技術が適用され、Sports Illustrated には AMSR 技術が適用されています。
ERA の使用
ERA 技術はスクリーンサイズが制限されている場合にウェブページを閲覧するのに有益といえます。表 1(下)に、最も一般的な ERA の利用例ならびに、ERA の利用の結果として不要となる代替策を掲げます。
| 利用可能な幅が制限されている状況 | 以下の代わりとなります: | |||
|---|---|---|---|---|
| スタイルシートの追加 | ページバージョンの追加 | ハードウェアのアップグレード | プロキシの再フォーマット | |
| 小さなコンピュータスクリーン | Yes | Yes | Yes | N / A |
| 横幅の広いページを印刷できます | Yes | Yes | N / A | N / A |
| 携帯電話や PDA などのハンドヘルドデバイス | Yes | Yes | Yes | Yes |
| TV や特殊機器などを含む Home media | Yes | Yes | Yes | Yes |
| フルスクリーンよりも小さくウィンドウを表示 | Yes | Yes | Yes | N / A |
| ウェブページをパネルに表示 | Yes | Yes | Yes | N / A |
| ズーム(拡大・縮小) | Yes | Yes | Yes | N / A |
ERA 搭載の Opera プロダクト
Opera Mini
CSSR は標準設定で有効です。Opera Mini サーバで実行されます。
Opera Mini は Java(MIDP) 対応の携帯デバイスの圧倒的多数でご利用になれますが、これには今日世界中で7億台を数えるミッドエンドからローエンドの携帯電話が含まれます。
Opera for mobile
CSSR もしくは SSR は標準設定で有効です。Opera Software ASA では個々のデバイスに合わせて調整することも可能です。デバイスによっては CSSR を無効にする方法もあります。
Opera for mobile は携帯電話や PDA プラットフォームの多くでご利用いただけ、これには Symbian Series 60、Series 80、Series 90、Windows Mobile for Smartphone 2003、UIQ、EZX、BREW、µitron、Linux Qtopia Phone、PDA Edition、Psion などが含まれます。
Opera for Home Media
TVR や MSR、AMSR は標準設定で有効です。Opera Software ASA では個々のデバイスに合わせて調整することも可能です。デバイスによっては ERA を無効にする方法もあります。
Opera for Home Media は数百万にも及ぶデバイス上に搭載され、Nokia 770、Archos PMA400、Amino Aminet Series IPSTB、Telsey IPSTB、i3micro IPTSB、NDS MediaHighway Advanced デジタル TV ミドルウェア、Sharp Zaurus PDA をはじめとする多くのデバイスが含まれます。
Opera for Desktop
ERA を有効にするには を選択してください。CSSR は を選べば有効になります。
ページがパネルとして追加されると()、パネルの表示メニューで "スモールスクリーン" を選択すると CSSR が有効になります。
Opera for Desktop は Windows、 Mac、Linux、FreeBSD、Solaris などといった主要なデスクトッププラットフォームの大多数でご利用いただけます。
リンク
詳細へのリンク:
- Opera Software ASA: http://jp.opera.com/
- Opera Mini: http://jp.opera.com/products/mobile/operamini/
- Opera for Mobile: http://jp.opera.com/products/mobile/
- Opera for Home Media: http://jp.opera.com/products/homemedia/
- Opera for Desktop: http://jp.opera.com/products/desktop/
- 貴社のインターネットデバイスに Opera を搭載しませんか?: http://jp.opera.com/company/business/
- Opera のスモール・スクリーン・レンダリング: http://jp.opera.com/products/mobile/smallscreen/

